アマノケイのまったり技術解説

合成音声系の技術的なことを中心に解説記事を書いていきます。

グロウルを手書きパラメータ風にV3ボカロ,CevioやUTAUなどに掛ける方法を試してみた!

最近、色んな歌声合成ソフトが出て各ソフト独自の便利な機能なども増えてきました

ただ、スクリーモやロックなどで重宝される「グロウル」が手書き(オートメーション)で掛けられるのは未だに「VOCALOID4」と「VOCALOID5」しかないという現状があります

 

なので、ここではDAWを使って良い感じのグロウルをお手軽に、そして強弱も自由自在にできる方法を紹介します!

 

1⃣準備するもの

DAW 

ここではReaperを使用しますが、32bitのプラグインをサポートしているDAWなら何でも大丈夫です!

AudacityやRadioline FreeはオートメーションやVSTが使えないので今回は不可とします

 

・Charsiesis

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コーラス系のプラグインです

配布しているサイトは現在閉鎖しているのでこちらのアーカイブからダウンロードしてください

bicycle for slugs

 

2⃣下準備(Reaperの場合)

VST用フォルダがある場合はそこにCharsiesisを入れて3⃣へ移行してください

 

①OptionsのPreferancesを開きます(日本語版だとオプションの環境設定)

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②項目の下の方にあるVSTを選んで右上にある2つ目の「Edit」というボタンを押し、AddでCharsiesisのフォルダを選択してください。

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下準備はこれで一旦終わりです。

 

3⃣やり方

DAWを起動して歌声を読み込みます

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②Charsiesisをトラックに掛けます

まず、右上にある電源ボタン付きの「Fx」と書かれてあるボタンを押してください

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③そしたらプラグイン選択画面が出てくるので、下のfilterに「charsiesis」と入力し、OKボタンを押してください。

もし、出てこない場合はこの画面の左上にある「FX」から「Scan for new plugins F5」を押してください。

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④Charsiesisが出てきますので、細かい設定をします。f:id:crimsonbutterfly0zero0:20181006161913p:plain

まず、基本動作として「上下にドラッグで数値が大きく変動」「左右にドラッグで数値が細かく変動」します

※これを念頭に入れとかないと真面目に地獄を見ます

 

基本設定

Voices:1

Delay range:0に限りなく近い値 (めんどくさいなら0でおk)
stereo mode:slave

LFO shape:sineかtriangle  強めが好きならお好みでsqare
LFO rate:1/8.00 units (グロウルのガラガラなる音の周期を調整します)

lfo>delay:1.3x ms辺り (大きくするとグロウルの効き具合が大きくなります)

 

お好みで(Deray rangeが0より大きい値の時有効)

rate range:値が大きくなるほど声に汚い音が加わります

rate update:(rate rangeが有効な時)演歌的なグロウル特有のゴロゴロ感が加わります

 

声質や音高によって微妙に効き具合変わってきますので、微調整したい場合はIfo>delayの値やLFO rateを弄ってみてください。

 

⑤次に赤丸の部分をクリックしてvst:charsiesisの欄から青丸のMixを選択します

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⑥そしたらトラックの下に緑色の何かが出てくるので上の部分をドラッグして一番下の0%まで下げます

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⑦Ctrlキーを押すとカーソルが鉛筆マークになりますので、グロウルを掛けたいところにササっと書き込みましょう

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こんな感じになります

www.youtube.com

UST akem様 

音源 戯白メリー 太神楽 塩釜様

 

どうでしょう、なかなかいい感じになったのではないでしょうか・・・!?

 

良いところ

・いろんな歌声合成ソフトに応用が利く

基本的にグロウルが付いてるのはVOCALOIDだけですので、UTAU, Cevio, Sinsy, SynthV, Sharpkey, 歌うVOICEROID, NIAONIAO, なめうぇーぶ, Alter/ego(以下省略)などいろんな歌声合成ソフトに一味違った表現を加えられます。

・お手軽で微調整が利きやすい

工夫すればUTAUでもノートにビブラートをかけたり、グロウルを掛けることができるエンジン、グロウル音素などはありますが、どれも基本ノート単位でしかできないため立ち上がりだけ、真ん中だけ、などの掛け方をするにはノート分割をしないといけません。

その分これはパラメータをピピっと書くだけなので大変楽です。

 

悪いところ

・Charsiesisの操作がめんどくさい

不親切設計なのでしょうがないです。コーラス系のプラグインやこちらのプラグインを同様の方法で使ってみるといいかもしれません。

VOCALOIDをシャウトさせるVSTプラグイン作ってみた - ニコニコ動画

・綺麗なグロウルがかかるかは声質次第

基本的に叫ぶような声質の場合は相性がいいのですが、囁きや弱い声ではそこまでいい感じにならない気がします

でも囁き声にグロウルを使う場合ってそこまであるのでしょうかね・・・?