アマノケイのまったり技術解説

合成音声系の技術的なことを中心に解説記事を書いていきます。

どんな音でも母音を自由に操れる!?ゆっくりボイスを生んだ会社の「Vocalizer」を試してみた!

今回は、どんな音声でも人の声に加工できるプラグインVocalizer」を試してみました

ネタ提供元はこぬこ (@konuko73) さんです、ありがとうございます!

 

1⃣Vocalizerとは?

このプラグインは、アクエストーク(通称:ゆっくりボイス)で有名な会社「AQEST」がから配布されているフリープラグインです

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楽器でも、ノイズでも、取り敢えず何かしらの音声このエフェクトを通すと「人間の声っぽく」なります

そんでもって、その人間っぽくなった音声の母音」を弄れるようになります

文章では良く分からないと思うので、取り敢えず例を見ていただきましょう

youtu.be

どうでしょうか!

エフェクトを掛ける前は機械的なブザー音だったのが、エフェクトを掛けるとダウナーな感じで「おういぇーいって発音してるのが分かります

これ以外にも、ホワイトノイズ楽器、どんな音でも、取り敢えず何かしら通しておけば声っぽくなります

これを使えば、無生物にコーラスを歌わせることができますし、それ以外にもいろんな応用も効きます

 

2⃣準備するもの

 

DAW 

ここではReaperを使用しますが、VSTが使用できるDAWなら何でも可

AudacityやRadioline FreeはオートメーションやVSTが使えないので、「単一の母音に寄せるだけでOK!」という方はこちらでも大丈夫です

 

・Vocalizer

アクエストのサイトから直接ダウンロードしてください

https://www.a-quest.com/products/vocalizer.html

 

3⃣Vocalizerの使い方

今回はVSTを読み込ませる部分は飛ばしますので、もし分からないのであれば、この記事の2⃣下準備(Reaperの場合)を参考にしてください

 

まず、音声を読み込んだ後、トラックの赤丸の部分をクリックします

出てきたウィンドウからプラグインを適応させます

(見つけづらい場合は下部分の空欄に「Vocalizer」と検索を掛けると出てきます)

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そうすると、Vocalizerのウィンドウが出てきます。

 

4⃣基本編

ここからは、このVSTの基本的な仕様説明に入ります。

(ある音を声っぽく変換&単一の母音に寄せるだけでも大丈夫なら、この説明のみで十分です)

 

UI上部のタブから男声寄り女声寄りかの選択ができます

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緑点は「どの音に寄せるか」を視覚化した点です

これが中心にある時点では何も加工が掛かっていませんので、とある音を「え(e)」に寄せたい場合は緑点を「e」と書いてある右に動かしてください

その他の母音についても同じです、それぞれの母音が書いてある部分に緑点を持って行ってください

 

3⃣応用編

 ここから先は連続的に母音を変える方法についてです

 

まず、赤丸の部分をクリックして青丸のPadXPadYにチェックをつけてください

 

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そうすると、トラックの下部分にPadXとPadYと表示されたパラメータグラフが出てくると思います

このグラフの値をオートメーション(手書き)で描くことで、母音の遷移を細かく調整することが可能になります

Reaperの場合はCtrl+ドラッグパラメータを描くことができます

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パラメータPadXはグラフの(口の横の広さ)

パラメータPadYはグラフの(口の縦の広さ)

を調整することができます(厳密には違いますが……

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もし、この音を部分的に「え(e)」に寄せたい場合、中心から右に寄せないといけないので、PadXの値を50%を基準に正の値に持って行くとグラフの緑点が右に動きます

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もし、「い(i)」や「æ(アとエの中間母音)」など微妙な位置に調節したい場合は、PadXPadYを同時に調整してください

 

正直、PadXに関しては上下と左右が対応してるので感覚的ではなく、少々いじりにくいです。(XYの座標軸の正負の関係と捉えると少しはマシになるかもしれません)

 

5⃣発展編

今までは「肉声ではない音声」にVocalizerを使うことを想定してきましたが、肉声にもVocalizerは使えます

使用音源:重音テト 単独音音源

 

元々の素材が母音のはっきりしている声というのもあるので、先ほどのような結果にはなりませんが、中間母音のようなあいまいな発音のようなものが作れます

なので、「外国語の発音をさせたいけど母音が足りない……」というときは該当部分をこれで弄ると結構それっぽい発音になります

 

それ以外に、歌声の細かいニュアンスや口の開き具合の調整をするときにも役に立ちます

こちらの「テテ」という方の動画では、Vocalizerプラグインを使用して「ボーカルパートの声質を動的に変化させる」という使い方をしています

 

人間由来の音声でも、使い方は基本的に同じです

この場合、以下の2点に注意すると出来栄えが変わってくると思います

  1. UI上部の男声・女声の設定が加工する声と一致してるか
  2. パラメータの遷移が急すぎて変な音になっていないか

 

6⃣まとめ

無生物に母音で歌わせられる!!!!

歌声合成で音素間モーフィングが無理でもこのプラグインならそれっぽいことができる!!!!