アマノケイのまったり技術解説

合成音声系の技術的なことを中心に解説記事を書いていきます。

Synthesizer V Studio Proの使い心地を試してみた

色々ありましてSynthV R2のエディタを先に貰いました、やったね!

あと今日は平行四界のR2音源発売日なので、「情報解禁してもいいでしょ!」ってかんじでレビューをしました。

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 ※執筆時点でのバージョンはPro1.0.4です。

ここで書いた悪いところはアプデで改善される可能性もあります。

全体的な感想

 

R1とR2を比べた感じでは「目を見張るような新しい技術的機能は無い」という感じで、どちらかと言うと「UI的な機能面」を重点的に改修したように見受けられます。

あまり良い例えではないですが、V2→V3における「トライフォン採用」V3→V4における「グロウル、クロスシンセシス」並の驚きは無い感じがします。

そもそもSynthVがR1時代から超絶有能なのもあって、結構ハードルは高くなってる感じがあります。

それ以外に良くも悪くも「良いところを伸ばし、悪いところを切り捨てる」という感じもします。

R1との変更点

良い点

 

音質の向上

真面目に音質が向上しました、特に息成分。

R1では結構ぼやけた音だったのが、R2では高域の部分もしっかり合成されるようになったのでMixのときにも埋もれづらく、囁き系の声もいい感じに生成されます。

R1サンプル

 

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R2サンプル

 

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※特に2秒あたりの「綴れ『ば』」が息成分が減り、明瞭になっている

※「夢に『ね』むる」の明瞭度が向上

 

実際のピッチ、波形、音素領域が表示されるようになった

「∨ピアノロール」と書かれている右隣のボタンを押すと実際の音声のピッチ(NOTピッチベンドで描いたピッチ)実際の波形音素の範囲が表示されるようになりました

子音の長さを視覚的に弄れるようになったのは嬉しいですね。

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R1時代は「▲」「▼」のみで表示されたので、「子音がどこまで伸びているか」「子音が伸びているのか縮んでいるのか」が非常に分かりにくかったので、これは大きな改善です。

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「ゆらぎ」パラメータ

ゆらぎパラメータ自体はSynthV R1からあったのですが、いまいち効き目が分かりづらく何をしているのかよく分かりませんでした。

しかし、前述のピッチ視覚化機能により「ゆらぎ」の効き目が目に見えて分かるようになりました。

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各ノートごとに「収録したときのピッチの揺れを加算する」機能です

(※Melodyneでいう「モジュレーション」、UTAUでいう「Mod」機能)

無調整でも良い感じに肉声感を加えたい場合は「ゆらぎ」を少々強めに、逆にとことん弄りたい/平べったい感じが良いのであれば「ゆらぎ」を弱く、あるいは無しにすることもできます。

 

ピッチの制御方法

SVR2にて追加された「点で制御する」タイプのピッチエディットですが、UTAUを使った事がある人なら結構良い感じにエディットできると思います。

ただ1つ、注意すべきことを言うなら1番UTAUチックな曲線は赤丸のボタンを押さないと適応されません。

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1つ左は「カクカクの線」、その右は「ベジェ風味の曲線(使いづらい)」 なのでご注意を。

 

音素ガチャの効率化

公式で既に発表があったので書くか迷いましたが、3種類の音素を選択することができます。なので「この発音気に入らないなぁ……」ってなったときの代替案が見つけやすくなりました!

地味に既存の歌声合成では存在しなかった機能です(UTAUは異次元、V4xは表現特化なので用途が違うので除くものとする)

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レンダリング率の視覚化

各トラックがどれくらいレンダリングされているのか非常に分かりやすく表示してくれます

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ピアノロールの表示場所を変えるとそれまでのレンダリングを止め、表示した箇所からレンダリングされます。

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あと、やろうと思えば12も並列してレンダリングができるみたいです、すげぇ……。

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日本語歌詞の入力

R1でもずっと問題になっていましたが、R2になってようやく直りました!

拗音を入力すると「じ」「ゃ」ではなく「じゃ」と入力されます!!!!!

ようやく区別されるようになりました!!!!!

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これだけで神アプデと言っても過言ではないかと思います。

 

UST読み込み

なんと、SynthVにて書き出したUSTが文字化け無しでUTAUに読み込めるようになりました!

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これでもう神を越して超越です(何を言ってるんだか)

どっちとも言えない点

読み込めるファイルが減った

地味ですが、Sharpkeyのプロジェクトファイルが読み込めなくなりました。

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R1時代の読み込み機能

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(※あと、某DTMブログを見てCeVIOトークを保存した後にSynthVで読み込んだら何も表示されなかったので悲しかったです)

 

安定性(1.0.3/1.0.4)

超絶安定してます。全然問題無いです

 1.0.4でデータを弄ってるんですが、激しい編集を施しても全く落ちないのでめっちゃ安定してると思いますが、運が良いだけかもしれないので一旦ここに保留しておきます。

※これから先全く落ちないなら「良い点」に移行するか削除します

1.0.3では結構データが落ちましたので、不安定な場合は「Ctrl+S」で頻繁に保存した方が良いと思われます。

※R1では救済措置として最短でデータを毎分上書き/新規保存してくれる機能がありました。

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VST機能の削除

結構VST連携機能に関してはDTMerからは賛否両論だったので敢えて削除したのは一周してありだったかもしれません……が、やっぱりそれを残念に思う人は一定数いるかと思います。

 

 

息成分の分離(ブレスの分離)

正直、息成分を分離して色々やる人はRX7とかAdobe Auditionとかで各自の手段を手に入れてると思うので「あえて息成分を別出力する必要はあるのか」という感じはあります。

でも、非常にきれいな感じで息成分が分離できてるので新しい表現方法としては使えると思います

 

左チャンネルから有声音のみ、右チャンネルから無声音(息成分)のみが流れます

※SynthVの標準書き出し機能「ブレスを別チャンネルとして」を利用

 

悪い点

 

UIが初見で結構不親切

サイドバーの横幅は変更できないので、色々と見づらいです。

特に「ショートカットの設定」欄が見づらく、一部の説明に至っては見切れています。

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それに加えここのボタンは「白がON、 黒がOFF」なので「ボタンを押すと凹んで黒い影ができる」という一般的な感覚と一致しません。

できれば緑色に光ってくれたら嬉しいんですが………。

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この辺り、R1は非常に直感的で「機能美」といえるUIをしていたのですがR2は「整列された美しさ(使いやすかは別)」という感じがします。

 

グロウルエフェクトの削除

R1では余り使われなかったグロウルエフェクトですが、Studioでは削除されました。

簡便なエッジボイス生成手段が無くなったのは少々痛いですね……。

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機能的にはボイスエフェクターだと思うので、個人的には、「生成音:原音」の比率をフリーハンドで調整できるようにしたら結構素晴らしい機能になると思ったので残念です。(初音ミクNTのような)

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個人的なぼやき

翻訳の変更

私が担当した翻訳よりも良い感じになっている場所もあれば、直訳すぎて分かりづらい箇所や「この表現はどうなんだ……?」というところが(個人的に)結構見受けられます。

個人的に「トランスポーズ」→「転調」にしたのは分かりやすいと思います。

 

特に「ブレスの分離」は「(CeVIOみたいに)トラックに自動ブレスが入るので、それだけ別途でエクスポートする」という風に見えるので「息成分の分離」と訳した方が良かったと思う。

 

  

 

感想

今回のアプデはR1で不満だった点を改善してくれたので本当に素晴らしいです。

もうSynthV最高…………。

 

 

 

 

 

おまけ(執筆当時のバージョン)

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